令和8年6月19日、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の一部を改正する法律」が公布されました。
今回の廃棄物処理法改正では、使用済みの金属・プラスチック物品を保管または再生する事業について、新たな許可制度が導入されます。
いわゆる金属スクラップヤードに関係する事業者にとって、今後の事業運営に大きく関わる可能性がある法改正です。
一方、令和8年8月現在、規制対象となる物品の具体的な範囲、許可が必要となる事業の基準、施設や保管方法に関する詳細、自治体条例との関係など、実務上重要な事項のすべてが確定しているわけではありません。
そのため、現時点で対象事業者や必要な対応を限定的に判断するのではなく、今後公表される政令・省令、ガイドライン、国から自治体への通知などを継続して確認することが重要です。
廃棄物処理法改正によりスクラップヤードの許可制度を導入
今回の法改正では、使用済みの金属・プラスチック物品の保管または再生を行う事業について、都道府県知事の許可制度が設けられます。
環境省は、スクラップヤードが資源循環において重要な役割を担っている一方、一部の事業場では、騒音、水質汚濁、土壌汚染、火災など、生活環境の保全に関する問題が報告されているとしています。
新たな制度では、許可制の導入に加え、保管や再生に関する基準の遵守、報告徴収、立入検査、改善命令、措置命令、罰則などの規定が整備されます。
これまで廃棄物ではなく、有価物として取り扱われていた物品についても、新たな制度の対象となり得る点が今回の改正の大きな特徴です。
ただし、どのような物品や事業が具体的に許可の対象となるかについては、今後定められる基準を確認する必要があります。
現時点では具体的なガイドライン等が整備中
環境省は、改正法の施行に向けて、スクラップヤード事業者が遵守すべき保管基準等を定めるとともに、自治体および事業者向けのガイドライン等を整備する必要があるとしています。
令和8年7月には、具体的な基準や制度運用を検討するため、「スクラップヤード環境対策技術検討会」が開始されました。
したがって、令和8年8月現在は、法律による新たな規制の大枠は示されているものの、実際の許可申請や施設対応に必要な細かなルールについては、引き続き検討が進められている段階です。
今後、確認が必要となる事項としては、次のようなものが考えられます。
- 規制対象となる物品の範囲
- 許可が必要となる事業や事業場の範囲
- 保管および再生に関する具体的な基準
- 許可申請の方法や必要書類
- 既存事業者に対する経過措置
- 既存施設に追加の対応が必要となるか
- 自治体条例に基づく許可や届出との関係
これらについては、現時点で一律に判断できる状況ではありません。
具体的な品目や施設を挙げて対象になる、または対象にならないと判断するのではなく、今後示される基準に基づき、個別に確認する必要があります。
ヤード条例がある自治体でも今後の運用に注意
千葉県をはじめ、一部の自治体では、すでに金属スクラップヤード等を対象とする条例が制定されています。
現在、自治体条例に基づく許可や届出を行っている事業者にとっては、改正廃棄物処理法による新たな許可制度と、既存の条例による規制がどのように整理されるかが重要な問題となります。
法律が改正されたからといって、自治体条例が直ちになくなるとは限りません。
また、条例に基づく許可を受けていることにより、改正法に基づく手続が当然に不要になるとも、現時点では判断できません。
国会の附帯決議においても、新制度の運用に当たっては、対象物品への該当性、許可の要否、基準への適合性などを明確にすることが求められています。
さらに、先行して条例を制定している自治体の制度を含め、現行制度の下で適正に運営している事業者に過大な負担が生じないよう配慮することも求められています。
このことからも、改正法と自治体条例の関係については、今後の政令・省令、国の通知、自治体ごとの条例改正や運用方針を確認する必要があります。
条例の許可を受けていても情報確認が必要
すでに自治体のヤード条例に基づく許可を受け、適正に営業している事業者であっても、今後の情報確認は必要です。
特に、次のような点が今後の焦点になると考えられます。
- 法律と自治体条例の双方の手続が必要となるか
- 現在の条例許可が新制度でどのように扱われるか
- 改めて許可申請が必要となるか
- 既存の施設が新たな基準に適合しているか
- 追加の設備や管理体制が必要となるか
- 施行前から営業している事業者にどのような猶予期間が設けられるか
ただし、これらは現時点で結論が示されている事項ではありません。
今後の制度設計によっては、既存の許可や施設が一定程度考慮される可能性もあります。
そのため、現段階で過度に対応を急ぐのではなく、国や自治体から発表される正式な情報を確認しながら、必要な準備を進めることが大切です。
新規開設や事業場の拡張を予定している場合
これから金属スクラップヤードを新設する場合や、既存の事業場の拡張、取扱内容の変更、施設の変更などを計画している場合は、特に注意が必要です。
計画時点では現在の自治体条例に適合していても、改正法の施行後に新たな基準への対応が求められる可能性があります。
土地の選定、施設の配置、保管場所、排水、防音、防火、周辺環境への配慮などは、事業計画の初期段階から検討する必要があります。
ただし、具体的な施設基準が確定していない段階で、将来の基準を推測して設備投資を行うことには慎重な判断が求められます。
新規計画や拡張計画がある場合には、現在適用される条例や関係法令を確認するとともに、改正廃棄物処理法に関する今後の動向も踏まえて計画を進める必要があります。
改正法の施行時期
スクラップヤードへの規制強化に関する規定は、改正法の公布の日から2年6か月を超えない範囲内で、政令により定められる日から施行される予定です。
令和8年6月19日の公布日から考えると、施行までには一定の準備期間があります。
しかし、具体的な施行日、申請受付の開始時期、経過措置の内容などについては、今後の発表を確認する必要があります。
許可申請の準備だけでなく、施設の改修、管理体制の整備、近隣への対応、消防や排水に関する確認などが必要になった場合には、相応の期間がかかることも考えられます。
事業者としては、ガイドライン等が公表されてから初めて情報収集を始めるのではなく、現段階から法改正の動向を把握しておくことが重要です。
現時点で事業者ができること
具体的な基準が確定していない現時点では、対象になることを前提として施設を改修したり、反対に対象外であると判断したりすることは適切ではありません。
まずは、現在の事業内容や許可状況を整理しておくことが有効です。
例えば、次のような情報を確認しておくと、今後の制度への対応を検討しやすくなります。
- 現在取り扱っている物品の内容
- 物品の受入れから搬出までの流れ
- 保管および再生の方法
- 事業場の面積や施設の配置
- 現在取得している許可や届出
- 自治体条例に基づく手続の状況
- 消防、排水、土地利用等に関する手続の状況
- 今後予定している施設変更や事業拡張
これらを整理したうえで、政令・省令やガイドライン等が公表された際に、自社への影響を確認することになります。
今後の国・自治体の発表を注視する必要があります
今回の廃棄物処理法改正により、金属スクラップヤード等に対する規制は大きく変わる可能性があります。
一方で、令和8年8月6日現在は、具体的な対象範囲、許可基準、申請方法、経過措置、自治体条例との調整などについて、未確定の部分が残されています。
そのため、現時点では「この物品は対象になる」「条例の許可があれば新たな許可は不要」「既存施設は改修が必要」といった限定的な判断はできません。
今後公表される次の情報を継続して確認することが重要です。
- 政令および省令
- スクラップヤード事業者向けガイドライン
- 自治体向けの技術的な通知
- 許可申請に関する手引き
- 既存事業者への経過措置
- 各自治体の条例改正および運用方針
金属スクラップヤードの新設、事業場の拡張、自治体条例に基づく許可申請などをご検討の事業者様は、計画段階からご相談ください。
※本記事は、令和8年8月6日時点で公表されている情報をもとに作成しています。今後、政令・省令、ガイドライン、通知、自治体の運用方針等により、制度の内容が変更または具体化される可能性があります。

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