「第2種旅行業」は、海外の募集型企画旅行を除いた旅行を取り扱うことができます。
実際にどのような要件なのかをみていきましょう。
第2種旅行業とは?
第2種旅行業とは、海外の募集型企画旅行を除いた旅行を取り扱うことができます。
旅行業の取り扱う旅行形態には3つの種類があります。
- 募集型企画旅行
旅行会社が企画・主催し不特定多数に募集をかけて開催する旅行です。
旅行会社の店頭やオンラインで販売しているパッケージツアーが募集型企画旅行にあたります。 - 受注型企画旅行
旅行者が旅行会社の企画する旅行に対して変更を求めることのできる旅行です。
学校の修学旅行などが受注型企画旅行にあたります。 - 手配旅行
旅行会社が旅行者の委託により、運送や宿泊等旅行サービスの手配を引き受ける旅行です。
旅行者の依頼による航空券の手配やホテルの手配が手配旅行にあたります。
旅行先で航空機の遅延などがあった場合には、旅行者自身で対応する必要があります。
第2種旅行業の業務範囲
- 国内(隣接市町村等含む)の募集型企画旅行
- 海外の受注型企画旅行
- 国内(隣接市町村等含む)の受注型企画旅行
- 海外の手配旅行
- 国内(隣接市町村等含む)の手配旅行
【参考】業務範囲の図
第2種旅行業の開業に必要な要件
① 申請者自身が旅行業法に定められた拒否事由に当たらないこと
② 財産的基礎がしっかりとしていること
③ 各営業所に旅行業務取扱管理者(常勤)を選任すること
旅行業法に定められた拒否事由とは?
旅行業法第六条には、申請者の拒否事由が定められています。次の事項に該当すると登録は拒否されます。
- 旅行業法に違反等により旅行業、旅行業者代理業や旅行サービス手配業の登録を取り消された者。
その取消しの日から五年を経過していない者 - 禁錮以上の刑に処せられ、又は旅行業法の規定に違反して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から五年を経過していない者
- 暴力団員等
- 申請前五年以内に旅行業務又は旅行サービス手配業務に関し不正な行為をした者
- 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人が①~④、⑦のいずれかに該当するもの
- 心身の故障により適切に業務を遂行することができない者又は破産手続開始の決定を受けて復権を得ていない者
- 法人で、その役員のうちに①~④、⑥のいずれかに該当する者があるもの
- 暴力団員等がその事業活動を支配する者
- 旅行業者代理業を営もうとする者で、二以上の旅行業者の代理をしようとしているもの
財産的基礎の要件 -営業保証金(弁済業務保証分担金)と基準資産-
営業保証金(弁済業務保証分担金)とは?
旅行者が旅行契約により被害に遭った場合に
第2種旅行業を新規開業するためには…
営業保証金(弁済業務保証分担金):1,100万円(220万円)
上記の金額が必要です。
【参考】各区分における財産的基礎の要件の図(新規登録時)
※事業年度ごとに変わります。
※営業保証金の下の括弧内の金額は、弁済業務保証分担金です。
※営業保証金:旅行業者が旅行者からお預かりした旅行代金などを保護するために、一定額を供託します。旅行業者が倒産した場合など「旅行者を守る」ことが目的です。
※弁済業務負担金:旅行業協会(JATAやANTA)に加入をしている場合、営業保証金に代えて旅行業協会に納付します。(金額は営業保証金の5分の1です)
基準資産とは?
営業保証金の供託や弁済業務保証分担金の納付したとしても財産的基礎がしっかりしていることを確認するために基準資産が設けられています。
第2種旅行業登録の基準資産は700万円以上です。
基準資産の確認は、新規の登録の場合、会社設立時の貸借対照表上の数字を用いて「資産-負債-(営業保証金または弁済業務保証分担金)-(不良債権+繰延資産+営業権)」≧基準資産で行います。
例えば、第2種旅行業者の場合(金額はイメージしやすいように適当なものを入れています)
資産:2,000万円
負債:0円(通常、会社を新規設立した時点では取引自体が発生していないので負債はないです。)
営業保証金:1,100万円
不良債権・繰延資産・営業権:500万円(開業費(繰延資産))
資産:2,000万円 ー 負債:0円 ー (営業保証金:1,100万円)ー (繰延資産:500万円)となり
400万円となるので基準資産の700万円を下回ることになります
では、同じ条件で営業保証金ではなく弁済業務保証分担金の場合にしてみましょう。
資産:2,000万円
負債:0円(通常、会社を新規設立した時点では取引自体が発生していないので負債はないです。)
弁済業務保証分担金:220万円
不良債権・繰延資産・営業権:500万円(開業費(繰延資産))
資産:2,000万円 ー 負債:0円 ー (弁済業務保証分担金:220万円)ー (繰延資産:500万円)となり
1,280万円となるので基準資産の700万円を上回ることになります
旅行業務取扱管理者の選任の要件
旅行業者は営業所ごとに「旅行業務取扱管理者」を選任しなければなりません。
第2種旅行業者は、海外旅行を取り扱うのであれば「総合旅行業務取扱管理者」を、国内のみであれば「国内旅行業取扱管理者」を選任しなければなりません。
旅行業務取扱管理者の資格を持っていて欠格事項に該当しない場合になることができます。
旅行業務取扱管理者の業務
- 旅行に関する計画の作成に関する事項
- 旅行業務の取扱い料金の掲示に関する事項
- 旅行業約款の掲示及び備置きに関する事項
- 取引条件の説明に関する事項
- 契約書面の交付に関する事項
- 企画旅行の広告に関する事項
- 運送等サービスの確実な提供等、企画旅行の円滑な実施のための措置に関する事項
- 旅行に関する苦情の処理に関する事項
- 契約締結の年月日、契約の相手方その他の契約の内容に係る重要な事項についての明確の記録又は関係書類の保管に関する事項
- 取引の公正、旅行の安全及び旅行者の利便を確保するため必要な事項として観光庁長官が定める事項
第2種旅行業の登録の要件について説明しました。
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